段差解消だけでは不十分?安心して暮らせるバリアフリーリノベーションのポイント

「段差をなくせば、バリアフリー住宅になる」と考えていませんか。
高齢者や介護が必要な家族が安心して暮らすためには、段差解消だけでなく、滑りにくい床、身体を支えられる手すり、移動しやすい間取り、室内の温度差への対策まで考える必要があります。
また、介護される方の安全性だけでなく、介助する家族が無理なく動けるかどうかも大切です。

この記事では、将来の介護に備えたい方や、高齢の家族との同居を検討している方に向けて、安心して暮らせるバリアフリーリノベーションのポイントをわかりやすく解説します。
費用相場や補助金、介護保険を活用する際の注意点も紹介するため、住まいづくりの参考にしてください。

段差解消だけでは安心できない3つの理由

段差をなくしただけでは、家の中の危険は十分に減らせません。

転倒の原因は段差だけではない

消費者庁や東京消防庁のデータでは、65歳以上の高齢者に起こる事故の約8割が住宅内で発生しています。
なかでも居室は約45%と多く、階段は約18%、台所・食堂は約17%。滑りやすい床やめくれたマット、暗い廊下、家具の角など、普段は気にならない場所にも危険が隠れています。
段差だけでなく、床材や照明、家具の配置まで一緒に見直すことが大切です。

身体の状態によって必要な対策が変わる

同じ家に暮らしていても、必要なバリアフリー対策は人によって異なります。
杖を使う方にはつかまりやすい手すり、歩行器を使う方には広くまっすぐな通路、車椅子を使う方には十分な出入口幅や方向転換スペースが必要です。

  • 杖や歩行器を使っている
  • 入浴や排泄に介助が必要
  • 将来の車椅子生活に備えたい

今の不便だけでなく、数年後の身体の変化まで考えることが、長く安心して暮らせる家づくりにつながります。

介護する家族の負担も考える必要がある

バリアフリーリノベーションでは、介護される方の安全だけでなく、支える家族の動きやすさも大切です。
ベッドや便器の横が狭いと、身体を支えるたびに腰や腕へ負担がかかります。
開き戸が介助の邪魔になったり、行き止まりのある間取りで移動しにくかったりすることも。
介助スペースや見守りやすい配置を整えることで、家族の負担を減らし、無理なく在宅介護を続けやすくなります。

床・壁・建具を見直して転倒や移動の不安を減らす

毎日触れる床や壁、扉には、小さな工夫で安全性を高められるポイントが数多くあります。

床は滑りにくさと歩きやすさで選ぶ

昔ながらの住宅には、敷居や上がり框に3〜4cmほどの段差があることも。
わずかな高さでも、足が上がりにくくなるとつまずきの原因になります。

床材は、滑りにくいフローリングやコルクタイル、クッションフロアなどが候補に。
ただし、柔らかすぎる床は車椅子の走行を妨げる場合があります。
衝撃の吸収性だけで選ばず、歩きやすさや掃除のしやすさも比べましょう。

壁は将来の手すり設置まで考えて補強する

手すりは、使う方の身長や動作に合った位置へ取り付けることが大切です。
目安は階段で床から75〜85cm、廊下やトイレでは75cm前後。直径32〜36mmほどなら、手の小さな方にも握りやすいとされています。
石膏ボードだけでは十分な強度を確保しにくいため、リノベーション時に壁の内側へ合板などの下地を入れておくと安全なだけでなく、将来の増設にも対応しやすくなります。

開き戸を引き戸に変えて移動を楽にする

開き戸は、扉をよけながら前後に動く必要があり、杖や車椅子を使う方には扱いにくいことがあります。
引き戸なら横へ動かすだけなので、身体の向きを大きく変えずに開閉可能です。
介助者がそばに立つスペースも確保しやすくなります。床にレールを設けない上吊り式を選べば、足元の段差もつくりにくいでしょう。
ただし、壁の構造によって設置できない場合があるため、事前の確認が必要です。

介護しやすく安心して暮らせる間取りのつくり方

移動距離や部屋の配置を整えると、本人にも家族にもやさしい住まいへ近づきます。

寝室とトイレの距離を短くする

夜間のトイレは、寝ぼけた状態で暗い廊下を歩くため、昼間より転倒しやすくなります。
寝室からトイレまでの距離は、目安として3m以内にすると移動の負担を抑えやすいでしょう。
できれば曲がり角を少なくし、入口が見つけやすい配置に。

また、人感センサー付きの足元灯を設け、通路に家具やコードを置かないことも大切です。
近さだけでなく、迷わず歩ける動線を考えて間取りを考えましょう。

1階だけで生活が完結する間取りにする

年齢とともに階段の上り下りが負担になると、2階の寝室や物置を使わなくなることがあります。
そこで、LDK、寝室、トイレ、洗面所、浴室を1階にまとめる「1階完結型」の間取りが安心です。
「1階完結型」の間取りは、階段での転倒を防ぎやすく、介助する家族の移動も少なくなります。
今は元気でも、将来は和室を寝室へ変えられるようにしておくなど、暮らし方を変えやすい設計がおすすめです。

見守りやすさとプライバシーを両立する

高齢の家族の部屋をLDKの近くに配置すると、料理や家事をしながら気配を感じられます。
ただし、常に家族の視線が届く環境では、本人が落ち着かないことも。
扉を閉めれば一人で休め、開ければ声をかけやすい距離が理想です。
室内窓や半透明の建具を取り入れる方法もあるので、見守る側の安心だけで決めず、本人の生活時間や好みも確認しながら考えましょう。

車椅子や介助者が動ける広さを確保する

車椅子での移動を考えるなら、廊下幅は85cm以上、ドアの有効幅は80cm以上がひとつの目安です。
さらに、方向転換や介助には、通れる幅だけでなく動作する余白も必要です。

ベッドや便器の横、洗面所の前など、家族が並んで立てる空間を確保しましょう。
ただし、必要な寸法は車椅子の種類や介助方法によって変わるため、図面だけでなく実際の動きを確認して決めることが重要です。

水回りの事故とヒートショックを防ぐリノベーション

浴室やトイレは、転倒だけでなく温度差による体調変化にも注意したい場所です。

浴室は転倒と入浴動作の負担を減らす

浴室では、濡れた床での転倒や浴槽をまたぐ動作に注意が必要です。
浴槽のまたぎ高さは40cm以下を目安にすると、足を大きく上げる負担を抑えやすくなります。
出入口の段差をなくし、滑りにくく冷たさを感じにくい床材を選ぶことも大切。
また、浴槽への出入りや立ち上がりに合わせて手すりを配置すると、無理な姿勢を減らせます。

トイレと洗面所は介助しやすい広さを確保する

トイレは、便座の高さを40〜45cmほどにすると、立ち座りの負担が軽くなります。
車椅子で使う場合は、1.6畳以上をひとつの目安にし、便器の横へ介助者が立てる空間を確保しましょう。
さらに、洗面台は下部に足が入る形にすると、車椅子でも使いやすくなります。
握力が弱くても操作しやすいレバー式水栓を選ぶなど、小さな工夫も安心につながります。

脱衣所・浴室・トイレの温度差を小さくする

暖かいリビングから寒い脱衣所や浴室へ移動すると、急な温度差が身体に大きな負担をかけてしまいます。
入浴中の急死は年間約1万9,000人と推計された例もあり、ヒートショック対策は欠かせません。
脱衣所やトイレに暖房を設置し、入浴前に浴室を暖めておくと安心です。
内窓や断熱改修も取り入れ、家の中の寒暖差そのものを小さくしましょう。
また、ドアや壁に換気口や給気口を設置することで、空気の出入りを作る方法もあります。

バリアフリーリノベーションの費用相場

費用や工事期間は、改修する場所や建物の状態によって大きく変わります。
まずは一般的な目安を知り、暮らしへの影響も考えながら計画を立てましょう。

工事内容費用の目安工事期間の目安
手すりの設置1か所1万〜5万円半日〜1日
段差の解消1か所3万〜20万円1〜3日
開き戸から引き戸への交換1か所10万〜25万円1〜3日
トイレのバリアフリー改修30万〜60万円2〜5日
浴室のバリアフリー改修80万〜200万円5日〜2週間
間取り変更を含む全面改修500万〜1,500万円2〜4か月

同じ工事でも、戸建てかマンションか、壁や床の補強が必要か、水回りの配管を移動するかによって金額や期間は変わります。
特に浴室やトイレの位置を変える工事、廊下を広げる工事は、費用が高くなり、工期も長くなりやすい傾向です。

また、水回りの工事中は浴室やトイレを使えない時間が生じることがあります。
仮設トイレが必要か、入浴できない期間をどう過ごすかなど、工事中の生活についても施工会社へ確認しておくと安心です。

バリアフリーリノベーションは、すべてを一度に直す必要はありません。
転倒しやすい浴室やトイレ、夜間に使う寝室からの動線など、危険度の高い場所から進めると失敗がありません。
「今すぐ必要な工事」と「将来に備える工事」を分けて見積もると、無理のない計画を立てやすくなります。

なお、表の金額と工事期間は一般的な目安です。
住宅の構造や地域、設備の種類、工事範囲によって異なるため、現地調査を受けたうえで詳しい見積もりと工程表を確認しましょう。

補助金を活用して無理のない計画を立てる

バリアフリー改修には、介護保険や自治体の助成制度を使える場合があるため、事前に確認しておきましょう。

介護保険の住宅改修費を確認する

要支援・要介護認定を受けている方は、介護保険の住宅改修費を利用できる場合があります。
支給限度基準額は原則20万円で、自己負担は所得に応じて1〜3割。
手すりの設置、段差解消、滑りにくい床材への変更、引き戸への交換、洋式便器への取り替えなどが主な対象です。
ただし、工事内容が本人の身体状況に合っていることが条件になります。

自治体の助成制度や税制優遇も調べる

市区町村によっては、介護保険とは別に高齢者向けの住宅改修助成を設けていることがあります。
対象工事や上限額、介護保険との併用条件は自治体ごとに異なるため、住んでいる地域の窓口で確認しましょう。
また、一定の条件を満たすバリアフリー改修では、所得税の控除や固定資産税の減額を受けられる場合も。
制度は年度によって変わるため、最新情報の確認をしてください。

補助金は契約や着工前に相談する

介護保険の住宅改修費は、原則として工事前の申請が必要です。
先に契約や着工をしてしまうと、支給対象外になる場合があるため注意しましょう。
まずはケアマネジャーや市区町村の担当窓口へ相談し、必要書類や対象工事を確認します。
見積書は補助対象と自費部分を分けてもらうと、費用の内訳がわかりやすくなり、申請も進めやすくなります。

バリアフリーリノベーションで段差だけでなく暮らし全体を見直そう

段差をなくせば安心、と思いがちなバリアフリーリノベーション。
しかし実際には、滑りやすい床や使いにくい扉、夜間の移動、水回りの寒さなど、暮らしの中にはさまざまな危険が隠れています。
床・壁・建具を整え、介護しやすい間取りや水回りへ見直すことで、本人の安全だけでなく、支える家族の負担も軽くできるでしょう。

費用相場や工事期間を確認し、介護保険や補助金も上手に活用することが大切です。
今の不安をそのままにせず、まずは専門会社へ相談し、家族みんなが安心して暮らせる住まいづくりを始めてみてください。

もし、後悔しないバリアフリーリノベーションをご希望であれば、私達ナカケンまでご相談ください。
ナカケンは、豊富な施工実績と経験による対応力の広さを活かして、35年以上にわたり多数のリノベーションを手掛けてきました。
バリアフリーリノベーションはもちろん、お住まいに関することなら何でも相談に乗りますので、まずはお気軽にお問い合わせください。