和室からフローリングへ リノベーションする前に知っておきたい法改正と注意点【2025年版】
「和室の畳をフローリングに変えたい」「洋室にして使いやすくしたい」とリノベーションを考える方は年々増えています。
ライフスタイルの変化や掃除のしやすさ、家具の配置自由度など、多くのメリットがあるこの工事。
しかし、2025年の建築基準法改正により、これまで「届出不要」とされていた内装リノベーションにも、確認申請が必要となるケースが出てきました。
「畳をフローリングに変えるだけだから大丈夫」と安易に進めると、法令違反や資産価値の低下など思わぬリスクに直面する可能性も。
本記事では、法改正の内容を踏まえ、和室からフローリングへ変更する際の注意点や法律の変更点を、わかりやすく解説します。
和室からフローリングへのリノベーションはなぜ人気?
和室からフローリングへ変更するリノベーションは、近年非常に人気があります。
昔ながらの畳の部屋も魅力はありますが、現代のライフスタイルに合った機能性や快適さを求めて、洋室化を選ぶ家庭が増えています。
現代のライフスタイルに合った空間へ
現代の家庭では、ソファやダイニングテーブル、家電製品など「洋式」の家具・家電が中心になっています。
畳の部屋では使いづらかった家具も、フローリングなら設置や配置がしやすくなり、日常の使い勝手が大きく改善されます。
また、在宅ワークや子どもの学習スペースとしても、フローリングの方が、汎用性が高いと感じる方が多いようです。
お掃除・お手入れのしやすさが魅力
畳は湿気を吸収しやすく、掃除機をかけるだけでは汚れが取りきれなかったり、管理を怠るとダニやカビの温床になってしまうこともあります。
その点、フローリングは掃除がしやすく、拭き掃除にも対応しているため、衛生的な住空間を保ちやすいのが大きな利点です。
小さなお子様やペットと暮らしているご家庭では、特にその違いを実感しやすいでしょう。
インテリアや家具配置が自由になる
フローリングにすることで、部屋のデザインや色調の自由度がぐっと広がります。
モダン・北欧・ナチュラルなど、お好みに応じたインテリアスタイルに合わせやすくなり、自分たちらしい空間づくりが可能になります。
また、畳縁や段差がなくなることで、家具のガタつきや配置の制約も少なくなり、模様替えや空間の有効活用にも柔軟に対応できます。
和室リノベーションにかかる一般的な工程と費用
和室からフローリングへのリノベーションは、畳を外してフローリング材を貼るだけのように思えますが、実際には床の高さ調整や下地補強が必要になることも多く、工事内容によって費用にも幅があります。
一般的な工事工程の流れ(6畳和室の場合)
工程 | 内容 | 所要日数(目安) |
1. 解体・畳撤去 | 既存の畳・敷居などを撤去 | 半日〜1日 |
2. 床下点検・補修 | 必要に応じて湿気・カビ・断熱材などを確認・補強 | 1日 |
3. 下地組み・調整 | フローリングの高さに合わせて合板などで床組み | 1日 |
4. フローリング施工 | 選んだ床材を貼り付ける | 1〜2日 |
5. 巾木・仕上げ作業 | 隙間処理や巾木取付、清掃など | 半日 |
一般的な費用目安(6畳あたり)
項目 | 費用の目安 | 備考 |
畳撤去・処分費 | 約8,000円〜15,000円 | 畳の枚数や処分方法で変動 |
下地調整・床組み | 約20,000円〜40,000円 | 床下の状態によって変動あり |
フローリング材・施工費 | 約60,000円〜150,000円 | 材質(無垢・複合など)で大きく変動 |
その他(巾木・雑工事) | 約10,000円〜20,000円 | 端材処理や細部の仕上げ等 |
合計(目安) | 約10万円〜22万円前後 | 一般的な6畳の場合の相場 |
このように、工事内容や材料の選定、床下の状態によって金額や工期は大きく変わります。必ず現地調査を経て詳細な見積もりを依頼するようにしましょう。
施工期間の目安と注意すべき点
一般的な6畳程度の和室であれば、施工期間はおおよそ3〜5日程度が目安です。
ただし、解体後に下地の劣化や湿気・カビが発見された場合には、追加補修が必要となり、工期や費用が増加することもあります。
また、在宅工事では、養生はしますが、どうしてもホコリ・音などが発生するので、居住者の協力も必要です。
2025年の建築基準法改正で変わった点とは?
これまで「小規模な住宅のリフォーム」は、建築確認申請の対象外となるケースが多く、特に木造2階建て以下の戸建て住宅は、いわゆる「4号特例」により、行政への届出を行わずに施工できるケースが一般的でした。
しかし2025年の法改正により、この“特例”の範囲が大幅に縮小され、これまで不要だったリノベーション工事でも、確認申請や届出が必要となる可能性があります。
4号特例の縮小と確認申請義務の拡大
2025年から適用される法改正の大きなポイントは、「4号特例の適用範囲が縮小された」ことです。
従来は、木造の戸建て住宅や小規模な増改築については、建築士の設計であれば一部の建築確認を省略できましたが、今後は用途変更や構造に関わる工事において、原則として確認申請が必要となるケースが増えます。
このことで、簡単なリノベーションであっても「構造や安全性に影響するか」が審査対象となる可能性が高まりました。
住宅の内装工事も審査対象になるケース
一見「軽微な工事」に見える内装変更も、床の構造に関わるような工事や、用途(例:和室→洋室)に伴って換気量や遮音性能などの性能要件が変わる場合には、確認申請の対象になる可能性があります。
特にマンションや集合住宅では、管理規約だけでなく建築基準法の観点からも、審査が厳格化される傾向があり、これまで「届け出なしでOK」とされていた範囲が狭まっているので、注意が必要です。
「増築なし」でも届出が必要になる背景
今回の法改正は、増築や建て替えといった大がかりな工事だけでなく、「面積変更なし・見た目の変更のみ」のリノベーションでも、居住性や安全性に影響があるならば、行政への届出が必要になります。
背景にあるのは、近年相次いだ建築物の法令違反や安全性の問題を受け、「建築物の全体的な性能確保」が重視されるようになった点です。
法改正前後の違いをわかりやすく比較
比較項目 | 法改正前(〜2024年) | 法改正後(2025年〜) |
4号特例の対象範囲 | 木造2階建て以下・500㎡未満の住宅は一部審査免除 | 対象範囲が縮小され、用途変更・構造変更は確認申請が必要に |
確認申請の要否 | 原則不要(建築士設計であれば) | 床構造・用途・性能に関わる工事は原則要申請 |
内装変更(例:畳→フローリング) | 基本的に届出不要 | 用途や構造が変わる場合は届出が必要な場合あり |
行政審査の範囲 | 一部免除(構造安全性などを除外) | より多くの工事で行政審査が入るようになる |
届出を怠った場合のリスク | 是正命令のリスクは限定的 | 是正命令・工事中止・資産価値への影響が増加 |
住まい手の意識 | 届出不要が当たり前という認識が多かった | 小規模工事でも届出が必要という認識が必要に |
和室からフローリング変更に“届出が必要”なケースとは?
「畳をフローリングに張り替えるだけなら届出は不要」と思われがちですが、2025年の法改正により、特定の条件を満たす場合には建築確認申請が必要となります。
構造に影響がある工事は申請が必要
床の下地や構造部分に手を加える場合、構造耐力に影響を与える恐れがあるとして、下記の工事は確認申請の対象になる可能性があります。
- 根太や梁の補強・切断を伴う工事
- 断熱材・床下の換気計画に変更を加える場合
- 建物の構造区画(耐力壁)に影響を与える施工
こうした工事は、住まいの安全性に直結するため、無届けで進めると是正指導の対象となるリスクがあります。
間取り変更・用途変更も注意が必要
和室をフローリングに変える際、部屋の用途や面積に変更が生じる場合も注意が必要です。
- 押入れをクローゼットに変えて居室面積が増える
- 畳の部屋をリビングやダイニングに用途変更する
- 2部屋を1部屋にまとめる、または間仕切りを撤去する
用途や機能の変更は、換気量・採光・遮音性など、建築基準法に関わる性能要件が変わるため、届出対象とされる場合があります。
床の強度や高さ変更で建築審査対象に
畳からフローリングに変更することで、床の仕上げ材の厚みや荷重、仕上がり高さに差が出てしまい、届出が必要になる可能性も。
- 階段や出入口との段差が新たに生じる
- フローリング材の重みによる床下構造の強度不足
- 防音対策(特に集合住宅)で厚みを増す場合
このような変更は、安全性や快適性に影響を及ぼすため、専門家の判断を仰ぎながら、必要に応じて確認申請の要否を見極めることが大切です。
届出を怠るとどうなる?トラブル事例とリスク
2025年の法改正後、「これくらいなら届出は不要だろう」と思ってリノベーションを進めた結果、後になって重大なトラブルに発展してしまうリスクがあります。
是正命令や工事中断のリスク
行政への届出が必要な工事を無届けで進めてしまうと、後から発覚した際に「是正命令」や「工事の一時停止命令」が出されることがあります。
- 施工済み部分の撤去・再施工が必要になる
- 工期が長期化し、追加費用が発生する
- 設計変更によってプランそのものが変わってしまう
といった事態に発展することもあり、精神的にも経済的にも大きな負担になります。
売却時の資産価値への影響
将来的に住宅を売却する際、リフォーム履歴や建築確認の有無は重要なチェックポイントになります。無届の工事が発覚した場合、
- 不動産評価額が下がる
- 住宅ローンが組みにくくなる
- 瑕疵担保責任の対象外とされる
といった不利益を被る可能性があります。
リフォームの内容が記録として残っていないと、「構造上の不安がある住宅」と見なされるケースもあります。
火災保険・住宅ローンにも関わる可能性
工事の届出を怠っていた場合、火災保険や住宅ローン契約に悪影響を与えることもあります。
- 火災保険の補償対象外となる工事がある
- 保険申請時に無届工事が理由で保険金が支払われない
- 住宅ローン審査でマイナス要因となり、融資額が減額される
などの事例も報告されています。
つまり、届出の有無は日常生活だけでなく、万が一のリスクにも直結する重要な問題なのです。
まとめ:法改正をふまえたリノベで安心・安全な住まいへ
和室をフローリングへ変更するリノベーションは大変人気ですが、2025年の建築基準法改正により、これまで不要だった確認申請が必要になるケースが増えています。
構造や用途に影響がある工事では、無届施工がリスクとなることも。
本格的に工事を始める前に、専門家や自治体へ相談し、法的手続きをしっかり確認しましょう。
安心・安全な住まいづくりのためには、正しい情報と準備が何より大切です。
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